様々なメディアで取り上げられる機会が増えた「ジビエ」は、ヘルシーでおいしいお肉として注目されています。日本でも古くから食べられてきた歴史があるジビエですが、最近話題になっているのはなぜでしょうか?この記事ではジビエの基本的な知識や、自分で調理して食べるときに気を付けたいポイントなどを紹介します!
「ジビエ(gibier)」とはフランス語で、狩猟によって捕獲した野生鳥獣のことを指します。自然の中で育ったジビエ肉は栄養価が高く、脂肪が少なく引き締まっており、まさに大地の恵みとも言えます。そんなジビエを使った料理はヨーロッパにおいて、貴族の伝統料理として古くから親しまれてきました。
日本において肉食が広まったのは明治時代以降と言われていますが、肉食が禁忌とされていた江戸時代にもシカやイノシシの肉などが食べられていた歴史があります。フレンチの食材として輸入されるようになったのは1990年代の中頃です。
日本で狩猟できる期間は、地域や対象の野生鳥獣にもよりますが基本的に11月15日~2月15日間の3ヵ月間に限定されています。
冬場に限定しているのは「草が枯れて木の葉が落ちているので見通しが良く、作業している農林業者も減るので誤射が少ない」「鳥獣保護の観点から、繁殖期である春~夏は避ける」といった大きな理由があります。また冬に備えて動物たちが体に栄養を蓄え、肉に脂がのって味が良くなるので食材として旬を迎えるシーズンでもあります。
「ジビエ」と聞くと、シカやイノシシを想像する人が多いと思います。ジビエの定義は「狩猟の対象になっている全ての野生鳥獣」なので、他に有名なものとして野ウサギやカルガモ、キジ、熊なども挙げられます。
ジビエ料理を扱うお店やメディアでの特集が増えたことで、「食べたことはないけど、ジビエは知っている!」という人も多くなってきています。認知度急上昇中のジビエですが、注目されている理由とは何なのでしょうか?
ジビエは高たんぱく低カロリーで、ビタミンや鉄分、亜鉛などの栄養素も多く含んでいる良質なお肉です。シカ肉の場合タンパク質は牛肉の約1.3倍、カロリーは豚肉の約 半分で、鉄分は100gで一日に必要な量の約30%が豊富に含まれています。イノシシ肉も同様にヘルシーであることに加えて、 肌や粘膜 を健康 に保 つ効果 があるビタミン B2が牛肉の約2倍含まれており、さらにビタミンB12は100gで一日に 必要 な量の約71%を摂取することができます。ジビエはボディメイクにも美容にも効果が期待できるのです。
日本では、増えすぎた野生鳥獣が田畑の農作物を荒らしてしまう被害が増えています。被害額は年間200億円を超えることもあり、農業に携わる人にとって深刻な問題となっています。この問題を解決するために全 国で捕獲体制が強化されており、今後も野生鳥獣の捕獲量は増えていくと予想されます。
野生鳥獣による被害対策で捕獲された動物を処理してジビエ料理として提供し、地域活性化につなげようとする動きも全国各地で広がっています。かつて捕獲された野生動物は焼却・埋設して処分することが多かったですが、現在は地域資源として食肉に加工する取り組みが増えてきました。インバウンドからも注目されているので、今後ジビエがますますブームになることが期待できます。
ヘルシーな健康食、また地域資源としても注目されているジビエですが、食べるときに注意したいポイントもあります。
野生鳥獣であるジビエは寄生虫感染 や食中 毒を引き起こすリスクがあるので、生食はとても危険です。シカの場合、住肉胞子虫という寄生虫の保有率が約90%とも言われています。「新鮮なお肉だから大丈夫 !」という言葉には十分注意して、自分の健康を守るために生食は絶対にやめましょう。
ジビエのお肉はレバー類も含めて、十分に加熱してから食べてください。表面だけの加熱では 寄生虫や食中毒のリスクを完全に取り除くことはできません。 首都圏でもジビエが原因で引き起こされたE型肝炎が報告されていたり、妊婦 がかかると赤ちゃんに影響を与える恐れがあるトキソプラズマに感染したりする可能性があります。ジビエを食べる際は、必ずお肉の中心部まで火を通してから食べるようにしてくださいね。
なんとなく「臭みが強い」「お肉がかたそう」などのイメージがつきまといがちなジビエですが、調理法次第でとってもおいしく食べることができますよ。その際は、しっかり中心部まで加熱することを忘れないようにしてくださいね!まだまだスーパーなどでジビエを見かけることは少ないですが、今後どんどん身近な食材になっていくかもしれません。もし手に入った時は、バーベキューでジビエ料理にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?